BMW S55は誰が作った?N54・N55からS58へ繋がるM直6ターボの物語!
今日は前回のS65に続いて、今度はターボのお話です(笑)
BMW F80 M3、F82 M4、F87 M2C
この3台に積まれているエンジンが、
S55B30A
3.0L。直列6気筒。ツインターボ!
431PS/550Nm そして最高回転数は7,600rpm
最近は、「BMW M=ターボ」
も普通になりました。
でも昔のBMW Mを知っている人なら分かると思いますが、
M3といえば、回してナンボ(笑)
E46 M3のS54/E92 M3のS65
NAでブン回す!!
これがBMW Mでした。
そこへ突然、
F80 M3 / F82 M4からターボ。
当時は、「M3までターボになるのかよ.....」
と思った人も多かったはずです。ミアキはめっちゃ悔しかった(笑)
でも実はBMW。ターボの歴史、めちゃくちゃ長いんです。
BMWターボの原点は1973年

1973年、BMWが発表したのが、
BMW 2002 turbo 2.0L 4気筒/170PS
そしてこのクルマ、BMW自身が現在も、
ヨーロッパ初の量産ターボ車と説明しています。
今から50年以上前です(笑)ミアキの1コ、パイセンです(笑)
今では軽自動車にもターボが付いていますが、
当時は、排気ガスでタービンを回して、
空気を押し込んで、小さいエンジンから大きなパワーを出す。
かなりぶっ飛んだ技術だったはずです。
しかもBMW。ここで終わりません。
そしてBMWはターボでF1まで獲る!

1983年。Nelson PiquetがBrabham BMWでF1ワールドチャンピオン。
BMW M12/13。わずか1.5Lの4気筒ターボ。
BMW公式資料でも、BMWのターボエンジンがF1史上初めてターボでドライバーズタイトルを獲得したエンジンとして記録されています。
2002 turboから10年。街のBMWで始めたターボを、
F1まで持って行った(笑)
BMWというメーカー、
昔から結構バカですよね(笑)
でも、その後BMWの市販車は長い間、NAエンジンを大切にします。
そしてBMW Mはさらに、高回転NAへ。
S50、S54、S65、S85
とにかく回すことのみに集中(笑)
でも2000年代。BMWの直6に、またターボが戻ってきます。
2006年 N54でBMW直6ターボが復活!
E92M3をミアキが新車降ろしたころ、135が発表。
当時M3キラーとして、界隈は騒いでましたね♪
だって、あんなちっこいのに
ツインたー坊を乗せるなんて、考えただけでセコすぎる(笑)

当時、お客様が購入されて、ソッコーで作ってETCCに持ち込んだのを昨日のことのようには思い出せません(笑)
話し戻してN54/3.0L直列6気筒/ツインターボ(たー坊)
306PS/400Nm
BMWは335i Coupéを、量産BMWとして初めてツインターボ・ガソリンエンジンを搭載したモデルとして発表しています。
今見ると306PS

「普通やん」
って思うかもしれません(笑)
でも当時の335i...速かった!
しかもTUNEすると、もっと速かった(笑)
ブーストを上げる。
燃料を入れる。
点火を合わせる。
一気にパワーが出る。
失火祭り(笑)当時はとにかく苦戦した。
いま思えば、ブローしまくってた。原因はアレだったんだよ。
保証でエンジン回収されてたから解らなかったんだ.....当時は。
現在のBMWターボTUNEの原型みたいな泥沼な世界が、
ここから始まり、現在も続く(笑)
N54からN55へ
次に登場したのが、
N55。
同じ3.0L直6ターボ。
306PS。
でもN54の2基のタービンから、
N55ではシングルのTwin Scroll Turboへ。
そこへHigh Precision Injection。
VALVETRONIC | Double VANOSと
BMW自身もN55を、Twin Scroll Turbo・直噴・VALVETRONICを組み合わせた新世代の直6ターボとして説明しています。
燃費 レスポンス 排ガス 乗りやすさ。
どんどん現代のBMWエンジンになっていきます。
そしてBMW Mは、この時代のBMW直6ターボを見ながら、
M3用のエンジンを作ります。
それが、S55です。
2015年M2ド前期、発表前に新車オーダーした時はS55だと思ってたが、
届いたらN55だった(笑)SPEC見ずに注文してはいけません(笑)
ター坊、1人役のN55で、当時ショックで夜しか眠れなかった(笑)
でも結果的に、このN55が後の世界初の新型 NS55.5へ繋がることになります!

S55はN55にタービンを2個付けただけ?
同じBMW直6ターボの流れにはありますが、M3/M4用として中身はかなり違う
Closed Deck、鍛造クランク、2基のターボ、M用の冷却・潤滑
431PS / 550Nmを出しながら7,600rpmまで回す
BMW自身もS55を高負荷・高回転に対応するM専用エンジンとして開発しています。
ターボになってもブン回す!
S65まで続いてきたMらしさを、全部捨てたわけじゃない(笑)
ターボになってもMはM
そしてMを買う人は、やっぱりドM(笑)

M4 GTSは500PSへ!ウォーターインジェクションでさらに進化!
M4 GTSは、なぜ水まで噴いたのか?
S55でもっとパワーを出すなら、BOOSTを上げて空気を増やし、それに合わせて燃料も増やす。
でも、それだけではダメ。
ちゃんと点火を進めて、燃焼圧力をおいしいところで使わないとパワーになりません。
そこで邪魔になるのが、
温度上昇。
BOOSTを上げれば圧縮された空気の温度は上がり、ノッキングしやすくなる。
ノッキングを避けるためには点火を遅角させる必要がある。
なのでBOOSTかけても、パワーは出ない。
そこでM4 GTSで使ったのが、
水鉄砲(笑)
純正で水噴射。これ市販車です。バカです(笑)
これが Water Injection
実はこの技術、歴史はかなり古く、第二次世界大戦時には航空機エンジンでも使われていた手法です。
吸気へ水を噴射し、その気化熱で吸気温度を下げる。
するとノッキングマージンが増え、
もっとBOOSTを掛けられる。
点火も適正な位置まで進められる。
その結果が、500PS / 600Nmです。
でも、ここで一つ疑問。
そんなにWater Injectionが良いなら、なぜ次世代のS58には付いていないのか?
550PSのM4 CSLですらWater Injectionは使っていません。
しかもCSLは、Water Injection無しでBOOSTを2.1barまで上げています。
2.1Barですよ!!恐ろしいエンジンだ。
なぜ?Why?
答えは、

S58ではエンジンそのものの温度管理が進化したから。
S55の圧縮比10.2に対してS58は9.3
燃料噴射圧は350bar(これ相当強烈です)
S58ではチャージエア冷却を含めた吸気・冷却システムそのものを、さらに高出力前提で進化させています。
つまり、
S55ではWater Injectionまで使って越えた温度の壁を、
S58では根本から作り直してカンタンに越えてきた。
だから重要なのは、
水鉄砲ではなかったのです(笑)
重要なのは、
温度
BOOSTを上げる。
燃料を増やす。
点火を進める。
そのために、温度をどう抑えるか。
BMW MはS55 GTSとS58で、その答えを変えてきたわけです。
とまあ、僕ら空冷式(N55)からするとセコさ極まりない!
そして、この「温度」というキーワード。
燃焼室だけの話ではありません。

流石はBMW!2個だけ、めちゃくちゃケチった(笑)
エンジン本体は
Closed Deck/鍛造フルカウンタークランクシャフト/ツインターボ/冷却も強化
専用プラグ。ここまでM専用!
なのに、
IGコイルはE46と同じ(笑)
そして悪名高き
クランクハブはN52世代から使われている3ピースハブ。

N52ならNAでトルクも小さいので問題にならない。
でもそれをケチってN54、N55、そして550NmのS55まで持ってきた。
そりゃハイパワー化していけば、その時点で限界でしょ(笑)
そこまで使い回すんかい!!BMW結構ケチです(笑)
そして次世代S58を見ると、BMW自身がそこを変えてきた。
クランク駆動側も変更!IGコイルも変更!
そして、この温度がIGコイルにも効いてくる。
ここからがDrive.的には本題。

N55/S55純正は細長いペンシル型IGコイル。E46も同じ(笑)
見た目はスッキリしていますが、鉄心や巻線を含むコイル本体の大部分がプラグホールの中へ入っています。
つまり、
一番熱いところへコイルそのものを突っ込んでいる(笑)
高負荷を続けるとシリンダーヘッド、プラグ周辺、プラグホールの温度も上がる。
その中に巻線や鉄心まで入っているので、コイル内部も熱を持ちやすい。
ブーストアップすれば更に温度は上昇!
巻線温度が上がれば銅線抵抗も増え、点火側の余裕は減っていきます。これが大問題。
S58コイルは、とにかく頭がデカい(笑)

でも、この頭のデカさには意味があります。
S55のように鉄心や巻線を含むコイル本体を細長くしてプラグホールの中へ入れるのではなく、S58コイルは主要部分を上側へ持っていき、プラグホール側には長いブーツを伸ばす形
つまり、
コイル本体を熱いプラグホールから上へ逃がした!
しかも物理的な容量も取れる。
ベンチ試験でも、B58/S58世代で使われるBMW純正コイルはN55/S55世代より大きな二次側スパークエネルギーと長いSpark Durationを示しています。
ここで僕らは思うわけです
S55はエンジン本体をあれだけM専用にしたのに、
IGコイルはE46と同じでケチりすぎ(笑)
その代わり、水冷IC、そしてGTSではWater Injection
とにかく温度を下げて成立させてきた。
もちろんBMWが「弱いコイルをごまかすために水を噴きました」
と言ってるわけではありません(笑)
目的はノッキングと熱対策です。
でもDMS的に見ると、
点火コイル自体を大きく変えず、周りの温度管理を徹底してS55を成立させた
そう見える。そして次世代S58では、
ハブ側も対策してきた。IGコイルも対策してきた。としか思えません。
それかIGコイルビルが沢山建った(笑)知らんけど

S55は、まずクランクハブとIGコイルから!
S55をもっと速くしたい。タービンを大きくしたい!
BOOSTを上げたい!燃料を増やしたい!
でもDMSでは、いきなりそこへ行きません。

※クランクハブが滑って実際にバルブクラッシュしたS55のピストン。
S55でまず押さえておきたいのが、
クランクハブ対策とIGコイル。
クランクハブは、バルブタイミングをずらさずエンジンを保護する為。
IGコイルは、
高BOOST・高筒内圧・高温の中でも、確実に火を飛ばして燃焼を安定させる為。
点火が弱くなれば失火する。
燃焼が不安定になれば、狙った点火時期で燃やせない。
さらに高負荷域で異常燃焼、ノッキング、プレイグニッションまで起これば、
最悪エンジンはブローします。
だからIGコイルは、
エンジンを守る為のTUNEでもあり、さらにパワーを出す為のTUNEでもある。
しっかり火を飛ばせるから、BOOSTを掛けられる。
燃料を入れられる。
狙った点火時期を使える。
結果として、より安全にパワーを引き出せる。
つまり、
クランクハブもIGコイルも、目的は似ている。
大事なMエンジンを守る為。
そして、更にパワーを与える為。
だからDMSはS58のIGコイルをコンバートする!
だからDMSでは、
クランクハブ対策と、このS58コイルConvert。
ここをS55 TUNEの土台として考えています。
その土台を作ってから、
初めて改造し放題となります!
タービンを大きくしてBOOSTを上げ、空気を増やせば当然燃料も必要になります。筒内圧が上がれば点火条件も厳しくなる。これはBIGタービンだけじゃなく、お手軽なDME-TUNINGでBOOST UPした場合も同じです。
最終的には高圧燃料ポンプ、インジェクター、低圧燃料ポンプ、IGコイル、プラグ、DMEまで全部繋がってくる。
昔N54で失火祭りになったところへ、結局また帰ってくる(笑)
当時は原因が分からず本当に苦労しました。
BIGタービンを付けても燃料系はノーマル。BOOSTも点火も暴れまくって、スーパーノックの嵐。
今なら「そりゃそうなるわ」と分かりますが、当時は分からなかった(笑)
解明するのに何年も掛かりました。
でも10年以上、シツコクN54 / N55 / S55をやり続けた結果、
今は何が足りなくて、どこから手を入れれば良いか分かります!
空気だけ増やしてもダメ。燃料だけ増やしてもダメ。火だけ強くしてもダメ。
BOOST、燃料、点火、温度。
全部バランスして初めてパワーに繋がります。
※動画は燃料系ノーマルで、BIGターボをセッティング。音で解ると思いますが、BOOST/点火が暴れまくって、スーパーノックの嵐。解明するのに3年かかりました(笑)
そして全部やったのが、Drive. M2「NS55.5」
ここまでN54 → N55 → S55 → S58とBMW直6ターボの進化を見てきましたが、DMSは調べて終わりではありません。
実際に作ります(笑)それも世界で事例のない事を!
Drive.のF87 M2はN55ベース。
そこへS55のクランクシャフトを使い、そのまま組むのではなく約2kg軽量加工

フルバランス取り、ジャーナルラッピング、メタル交換、クリアランス測定まで行って組み上げています。

S65ほどメタルを大きく取り上げる必要はありませんが、メタルクリアランスが狭いのは
S65だけではありません。
開けた以上、当然測る。この当時の走行距離は35000Km結構やばかった。
その上でタービンはPURESTG2。(現在は750)
燃料はDorch STG2高圧ポンプ、S63インジェクター、低圧燃料系まで強化。
そして点火系も作る。
最後はDMEで全部合わせる。純正リンプモードは残す。
(チューナーによっては保護機能を消す)
N55でもない。S55でもない。だから、
世界で一機だけのNS55.5
良いところは使う。弱いところは対策する。
必要なら削る、磨く、測る、組む。
空気を入れて、必要な燃料を入れて、ちゃんと火を飛ばす。そして温度を見ながらDMEで全部合わせる。
BMWが作ってきたものを、そのまま使うだけがTUNEじゃない。
世代ごとの良いところを組み合わせて、その車に必要な形へ作り変える。
これがDMSの考えるBMW TUNEです。
↓M4のあとにDrive.NS55.5のセッティングがあります。
とまあ、非常に長文で書いた本人も読み返したくないレベルですが
要約すると
暇なんで、もっとお仕事ください(笑)
で、結局S55は誰が作ったの?
正確には、BMW M GmbHのMエンジン開発チーム。
当時その責任者だったのが、Jürgen Poggel(ユルゲン・ポッゲル)です。
Poggel本人も、ミュンヘン・PreußenstraßeのMエンジン開発部門で新しいM TwinPower Turbo直6を設計し、量産化まで仕上げたと説明しています。
つまりN55にMのバッジを付けただけではなく、BMW Mが自分たちで作り込んだエンジン。それがS55です。でもハブとコイルはケチったのでした(笑)
そんなこんなで
BMWサイコー♪
Drive. Motor Sport|まる解り動画
Drive.は M PERFORMANCE PARTS の 正規取扱店です♪

Drive.F87 M2

Drive.E92M3 RACE CAR"


DMS E90M3 Super Charger









コメント