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BMW E92 M3のS65B40Aは誰が作った?F1、幻のE46 M3 V8、S85 V10から繋がる8400rpmの物語!

執筆者の写真: Minoru Miaki
Minoru Miaki
1 時間前
読了時間: 8分
BMW E92 M3 S65B40A V8 エンジン

今日はちょっと真面目な事を書きます(笑)


E92M3を改造し始めて17年(笑)の歳月が.....


E92 M3に搭載される、S65B40A。3,999cc。V8のNA!


420PS / 8,300rpm。


そして最高回転数は、ノーマルで8,400rpm!


今となっては、4.0LのV8を8,000rpm以上まで回してパワーを作る

市販エンジンなんて、かなり異常です(笑)


ターボもない。モーターもない。


アクセルを踏んで、空気を吸って、燃料を燃やして、


とにかく回すしか能が無い。


E92 M3が登場した2007年。


BMW Mが選んだ答えは、そんなエンジンでした。


では、このS65。


誰が、どういう考えで作ったエンジンなのか?


調べていくと、E92 M3だけ見ていても分からない話が出てきます。


BMWがF1を本気でやっていた時代


BMW P86 Formula 1 V8 エンジン


2006年。


F1のエンジン規定が3.0L V10から2.4L V8へ変更されました。


BMW Sauberが投入したのが、


BMW P86 V8/2.4L V8


当時のF1エンジンです。


もちろん、


S65=P86を市販車用にデチューンしたエンジンなんてよく言われますが


実は違います。


ただ、BMW自身はE92 M3のV8について、F1で培った製造方法、材料、高回転エンジンに対する考え方などの技術移転を明確に打ち出していました。


つまり、


F1エンジンそのものではない。


でも、


BMWがF1を本気でやっていた時代だからこそ生まれたMエンジン。


そう考えると、このS65というエンジンがちょっと違って見えてきます。


19,000rpmの世界から、市販車の8,400rpmへ


BMW P86 F1 V8 ダイノテスト・高回転エンジン

BMWの当時のMエンジン教材にも、F1エンジンが約19,000rpmという極端な高回転で動くことを例に挙げながら、


高回転化こそ高性能エンジンから大きな推進力を得る方法


というMの考え方が説明されています。


その思想を市販車に持ってきたらどうなるのか?


それがS65を見るうえで面白いところ。


でも実は、E92 M3で突然V8の研究が始まったわけではありません。


話はもっと前に遡ります。


実はE46 M3の時代に、V8のM3が存在していた。


BMW E46 M3 CSL

量産型M3として初めてV8を搭載したのがE9x M3!


これは間違いありません。


でも、


「BMW MがM3にV8を積んだのはE92が最初なのか?」


と言われると、実は違います。


E46の時代に、すでにBMW MはV8を積んだM3を作っていました。


ここでBMW好きなら、


「それM3 GTRだろ?」


と思いますよね。


確かにそれも正解。


でも今回の話は、


M3 GTRではありません。


まず有名なのが、E46 M3 GTR


BMW E46 M3 GTR レースカー

2001年 BMWはAmerican Le Mans Seriesを戦うため、


E46 M3 GTRを作りました。


その心臓が、P60B40/3,997cc V8


レース仕様では約450PS。


さらにホモロゲーションのため、同じP60B40を積んだM3 GTR Streetまで作られています。


つまり、E46にV8を積むこと自体は、すでにBMW Mがやっていた。


しかもE92 M3が出る6年も前です。テンション上がってきたでしょ?(笑)


でも、S65の話で重要なのはGTRではない


そして、その2年後。2003年


BMW Mはもう1台、


ほとんど表に出なかったV8のE46 M3を作っています。


それが、BMW M3 CSL V8 Proto type


BMW M3 CSL V8 Prototype E46

ベースは、E46 M3 CSL。


見た目は普通のCSLにかなり近い。


でもボンネットの下には直6のS54ではなく、V8


搭載された試験エンジンは、S65VB40。


BMW Mが独自に開発した先行試験用V8で、S62をベースとしながら、高回転型Mエンジンを研究するために作られたものでした。


最高出力は430PS。


そしてこのクルマは、たった1台。完全な実験車です。


何のために、そんな物を作ったのか?


ここが面白いところ。ただ単に、


「CSLにV8積んだら速いやろ(笑)」はDrive.的感覚に近いですが


BMWはそんなノリで車は作りません。


BMW Mによれば、


このM3 CSL V8 Prototypeで得られた試験データが、その後まったく新しく開発されたMエンジンへ繋がっていったとされています。


そのエンジンが、


S85 V10


そして、


S65 V8


つまり、


E46 M3 CSL V8 Prototype



S85 V10



S65 V8


という流れ。


E92 M3が登場した時に、


「次はV8にしよう!」「せっかく作ったからV8で、えーやん」


と突然、ノリで始まった話ではないんです(笑)


その何年も前からBMW Mは、高回転V8の研究を始めていた。


これを知ると、S65の見方が少し変わってきたでしょ?


そして先に世に出たのがS85 V10


BMW E60 M5 S85B50 V10 エンジン

2005年E60 M5に、S85B50 V10が登場します。


5.0L/10気筒/507PS。


92.0mmボア。75.2mmストローク。


そして最高回転数は8,250rpm。


BMW M自身も、後のS65について、


S85のアーキテクチャとアルミ構造を共有し、そこから2つの燃焼室を減らしたV8


と説明しています。


言ってしまえば、


S85 V10の高回転NA思想を、M3用V8に凝縮したのがS65。


もちろん単純にV10をサンダーで2気筒切ったわけではありません(笑)


でも、


設計思想。ボア・ストローク。高回転化。軽量化。


そこにははっきり血の繋がりがあります。


そして2007年、ついにS65B40登場!


お待たせしました。やっとE92の話です(笑)

BMW E92 M3 S65B40 V8 エンジン

搭載されたのは、S65B40/3,999cc/V8


420PS / 8,300rpm-400Nm


92.0mmボアx75.2mmストローク


そして最高回転数、8,400rpm!


BMW Mによれば、


S65はBMW Mが開発した量産エンジンの中で最も高回転型のエンジンです。


今の感覚だと420PSという数字だけなら珍しくありません。


2.0Lターボでも出る時代です。


でも、


4.0L V8の自然吸気を8,400rpmまで回して420PS!


ここがS65の偉いところでV8なのに、先代のS54より軽い!!


さらに変態なのがS65の重量は約202kg。


シリンダーが2本増えて、排気量も増えて、


V8なのに、ピストンもスロットルも2個、OILも3L多いのに


先代M3のS54より15Kgも軽い!!


高回転化するには、


ただ回転リミットを上げればいいわけではありません!


往復運動部品を軽くする!


剛性を確保する!


オイル(油膜)を切らさない!


吸気抵抗/吸気温度を減らす!


全部必要です!!!


BMW Mはそこまで含めて、


8,400rpmまで回すためのV8


を作ったわけです。


そしてエンジンを開けると、もっと面白い♪


DMS BMW S65B40A エンジン分解・内部構造

カタログスペックを見てるだけでも十分変態なんですが(笑)


僕らの場合、実際に開けて覗きまくります(笑)


DMS S65B40A シリンダーヘッド・燃焼室

S65は中を見れば見るほど、


「とにかく回すために作ったエンジン」なのが分かります!


割るまでは、アンナことや、こんな事!イタズラを考えていましたが(笑)


ほぼ触るところが、ないんです!なさすぎるんです(笑)


こんなTUNEDエンジンを普通に売られると


僕らの仕事が無くて、まいっちんぐ(笑)


BMW E92 M3 S65B40A V8 エンジン

8,400rpmという数字は、


DMEでREVを書き換えたから出ている数字じゃありません。


機械側が、


そこまで回すことを前提として作られている。


ここが重要です。


F1との関係も、ここでやっと見えてくる!


BMW P86 Formula 1 V8 エンジン

繰り返しになりますがS65を、「F1エンジンの市販版」


と呼ぶのは違います。


ただし、


BMWがF1を戦っていた時代に得た、


高回転エンジン。


軽量化。


材料。


鋳造。


加工。


検査。


そういった技術や思想が、Mの市販エンジンへ反映されていたことはBMW自身が説明しています。


つまり、P86 → S65


という単純な親子ではない。でも、


同じ時代のBMWエンジニアリングの中から生まれたエンジン。


そう考えるのが一番しっくりきます。


ミアキ的にはブン回ればどっちでも良いですが(笑)


ランツフートというもう一つの繋がり。


BMW Group Plant Landshut 軽合金鋳造工場

BMWの軽合金鋳造技術を担ってきた、


BMW Group Plant Landshut。


S65のエンジンブロックも、BMW Sauber F1のエンジンブロックを製造していたランツフートのBMW軽合金鋳造工場で作られていました。


BMW M自身も、F1エンジンとの技術的な繋がりを説明する際に、この点を挙げています。


写真のおねーちゃんは全く関係ありません(笑)


約20年後、そのS65をDMSで開ける


↑設計からって意味ね(笑)実際には16年後ぐらいかな?


DMS BMW S65B40A エンジン分解・内部構造

2007年に登場したS65。


当然ですが、もう新品ではありません。


5万km。8万km。10万km。15万km。それ以上!


街乗りだけの車。


サーキットを走ってきた車。


オイル管理されてきた車。


そうではない車。


同じS65でも、中身は全部違います。


ここからが僕らDMSの志事。


DMS S65 クランクジャーナル点検・コンロッドメタルTUNE

S65のウイークポイント、今ではかなり有名すぎる


コンロッドメタル。


でも、


「S65はメタルが弱いから新品に交換しました!」


だけなら簡単です。


僕らが知りたいのは、


そのエンジンが今どうなっているか。


クランクジャーナルを測る。


摩耗を確認する。


外したメタルを見る。


クリアランスを測る。


必要なら修正する。


そして、


もう一度測る。


何度も言いますが、


エンジンはズバリ数字です。


見た目だけキレイでも意味がありません。


DMSでは「メタル交換」ではなく、コンロッドメタルTUNE!


DMS S65 コンロッドメタル・クリアランス測定

距離だけ見て、


適当なサイズのメタルを入れて、


同じように締めて、完成。


ではない。


測る。状態を見る。選定する。必要なら修正する。


そして適正なDMS基準のクリアランスへ持っていく。


だからDMSでは、


S65 コンロッドメタルTUNE


と呼んでいます。



次に弱いのがVANOS。プラスチックカバーが割れて内部に落ちる。


BMW S65 VANOSカバー破損・VANOS点検

S65も製造から時間が経ち、DMSでは実際に、


VANOSカバー破損。ローター破損。


バルタイズレ。色々見てきました。


先日のE92 M3なんて、


VANOS交換予定で開けたら、


VANOSカバー破損....



壊さないために回さない?


Drive. E92 M3 サーキット走行

F1


E46 M3 GTR


M3 CSL V8 Prototype


S85 V10


S65 V8


こうやって辿ってみると、


S65がただの、


「E92 M3に載っている4.0L V8」


ではないことが分かります。


BMW Mがまだ自然吸気で、


もっと回す。という方法で性能を追い続けていた時代。


その集大成の一つが、


S65B40Aです。


せっかくBMW Mが、8,400rpmまで回すために作ったV8。


壊れるのが怖いから、


6,500rpm。


7,000rpm。


そこでシフト。


それでは、


ちょっともったいない(笑)


ってか、かなり人生を損しています!!


愛車の現状を知る。


弱いところは対策する。


そして、回す。もっと回す。更に回せ!!!


僕らはその方が、


S65らしい人生だと思っています(笑)


そんなこんなで、暇すぎてダラダラすいませんわら


本当に暇なんで、もっとお仕事ください♪




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